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東仙歌神の攻撃が止むことはなかった。
一つが終わればまた次が。東仙の能力は変身〔トランス〕というもの。
触れた物質の形状を変化させるという力だ。
二人がいるのは山の中。東仙にとって武器となるものは無限とある。
たとえ小さな石ころでも、触れればピストルの砲弾のように威力のある攻撃になるし
地面に落ちている葉っぱに触れれば、それは刀のような切れ味抜群の武器となるだろう。
そんな止むことのない怒濤の攻撃の中に、二神悠斗は隙を見つけることが出来ないでいた。
「どうしました? 攻撃してこないと、死にますよ」
東仙は本気だった。
イヴを救い出す最後の可能性ではあるが、ここで死ぬならそこまでの人間だった。
そう思う程度だろう。
「また、私が女だから……などという言い訳をするつもりですか?」
それは初めて二神と東仙が対峙し、そして戦ったときに二神が言った言葉だった。
あの時だって、運良くノーバディが現れたから助かったものの、現れなかったらどうなっていたかは分からない。
東仙は落ち葉に触れ、それを二神目掛けて投げる。
顔を素早く動かし、二神はその攻撃をよけた。
二神の後ろにあった一本の木が、真っ二つに切断される。
それを見ただけで、その葉っぱの切れ味が分かる。
一発でもくらえば致命傷となる可能性もある。
「クッソ……どうすれば」
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