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そのオーラが、二神に刺さる枝に当たった瞬間、枝は普通のものに戻ってしまった。
「…………」
木から降りた東仙は、近くに落ちている葉っぱを拾い、硬質化し手裏剣のようになった葉っぱを二神へと投げる。
ドライアイスのように二神の体から出ているどす黒いオーラに当たった瞬間、やはり葉っぱは元に戻った。
「これが……」
二神悠斗が目を覚ましたのは、それから二時間後のことだった。
気を失ったときにはまだ明るかったが、目を覚まして視界に入ったのは紅く染まり始めている空。倒れていた場所も違っていた。
頭がボーっとしている中、聞こえてきたのは水が流れる音。
横を見ると川があった。
もちろん、その周りには無数の木が生えている。川には上から水が流れてくる滝がある。
頭が痛いと思い、顔をあげてそこを見てみると、あったのは───
「い……石?」
「やっと目が覚めましたか」
折れた太い木に座りながら、つまらなさそうに呟いた東仙はコップに注いだお茶を飲んだ。
「苦労しましたよ。アナタをここまで運ぶのは……」
二神の上半身は服が脱がされており、丁寧に包帯が巻かれている。
まだ傷は癒えていない。少し傷口をいじれば、包帯は一気に赤黒く染まるだろう。
「俺、気を失ったのか?」
「失いましたね。でも、おかげでいいものが見れました」
いいもの? と二神が聞いてきたので、東仙は口元に少し笑みを浮かべながら言った。
「えぇ、アナタが言っていたすごく面白いものを……」
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