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「……私がッ!!」
コンッと、アルミ缶が地面に落ちたときのような音が響いた。
神谷の足元にあったのは、さっきと同じく───手榴弾。
隣にいた雨林は、顔を青くしながら即座に横に飛んだ。
しかし、神谷は動かなかった。ただ手榴弾を蹴っただけ。
だけ、と言ってもそれだけで手榴弾の爆発を避けるには十分だった。
判断が早かった。
手榴弾の周りの重力を無くせば、軽く蹴るだけで遠くまで飛んでいくだろう。
実際に手榴弾は飛んでいき、爆発に巻き込まれることは免れた。
……神谷は。
蹴られた手榴弾が向かった先は、木乃枷雨林が転がりついた場所だった。
「ノオぉぉぉぉぉおおおお!!」
ドカン!! と手榴弾は勢いよく爆発した。
当然、木乃枷雨林は爆発に巻き込まれダメージを負ってしまった。
入ってきたすきま風で、爆発によって発生した煙が撒いていく。
見えてきたのは右手を地面につけ、一生懸命立とうとする雨林。なぜか体は震えている。
「……なにやってんだァ? オマエ」
その言葉を聞いた瞬間、雨林は勢いよく立ち上がり、神谷のもとまで寄ってくる。
「おぉぉぉい!! 何してんの。いたじゃん俺!! 一生懸命攻撃避けようとしてたじゃん!!」
「うっせェ。オマエが巻き込まれよォと俺には関係ねーし。つーか、そんなに嫌ならとっとと失せろ」
雨林とは目を合わせずに嫌そうに言う。
「とにかく、下がってろ。邪魔なんだよ」
雨林は返す言葉もなく少しずつ後ろに引いていく。
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