♯10.重力操作〔グラビティー〕

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「つまんねェ……」 神谷蛭牙は舌打ちをする。 「舌打ちしたいのはこっちだよ」 ポツリと呟きながら、木乃枷雨林は近づいてきた。 「ンだお前、まだいたのか」 耳を小指でほじりながら、神谷は言葉を吐き捨てた。 「いたよ……ていうか、その後ろの女の子誰?」 雨林が指差すのは、いつの間にか神谷の後ろまで移動していたユニバード=セフィロスだった。 「…………知るか」 そう呟き、その場を去ろうと歩いていく神谷の後ろにチョコチョコとユニバードはついていく。 「なんでついてくんだ、クソガキがッ!!」 「……」 ユニバードは何も答えず、うつむいた。 「おい神谷、子ども相手に言い過ぎだろ。お前の連れだろ?」 「ッ……違うっつってんだろォが!! だいたいオマエは何者なんだよ。アイツらが来た理由もテメェらしいじゃねェか」 「……そうですけど」 ビュー、と風が吹けばかき消されてしまいそうな声でユニバードは答えた。 「…………私は」 その時、やけにテンションが高い声が廊下に響いた。 「ちょっとちょっとちょっとちょっと、何よコレ!? あんたの仕業なの? 神谷ぁ」 「また面倒くせェのが戻ってきやがった」 なんでよりによって今なんだよ。と、心の中で呟きながら、その女生徒の方を見る。 雨林、ユニバードもそれに習って視線を移す。 そこには黒髪の女生徒。 「あら? その子目を覚ましたの?」 空気の読めないその女生徒の名前は 黒澤頼子。
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