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「つまんねェ……」
神谷蛭牙は舌打ちをする。
「舌打ちしたいのはこっちだよ」
ポツリと呟きながら、木乃枷雨林は近づいてきた。
「ンだお前、まだいたのか」
耳を小指でほじりながら、神谷は言葉を吐き捨てた。
「いたよ……ていうか、その後ろの女の子誰?」
雨林が指差すのは、いつの間にか神谷の後ろまで移動していたユニバード=セフィロスだった。
「…………知るか」
そう呟き、その場を去ろうと歩いていく神谷の後ろにチョコチョコとユニバードはついていく。
「なんでついてくんだ、クソガキがッ!!」
「……」
ユニバードは何も答えず、うつむいた。
「おい神谷、子ども相手に言い過ぎだろ。お前の連れだろ?」
「ッ……違うっつってんだろォが!! だいたいオマエは何者なんだよ。アイツらが来た理由もテメェらしいじゃねェか」
「……そうですけど」
ビュー、と風が吹けばかき消されてしまいそうな声でユニバードは答えた。
「…………私は」
その時、やけにテンションが高い声が廊下に響いた。
「ちょっとちょっとちょっとちょっと、何よコレ!? あんたの仕業なの? 神谷ぁ」
「また面倒くせェのが戻ってきやがった」
なんでよりによって今なんだよ。と、心の中で呟きながら、その女生徒の方を見る。
雨林、ユニバードもそれに習って視線を移す。
そこには黒髪の女生徒。
「あら? その子目を覚ましたの?」
空気の読めないその女生徒の名前は
黒澤頼子。
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