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「俺は……このハンバーグセットで。お前はどーすんの?」
「では、私はランチセットを」
かしこまりました。と言って店員は店の奥に戻っていった。
二神悠斗と東仙歌神は山を下り、近くにあったファミレスに入っていた。
「それにしても不幸な一日だった」
二神はしみじみと呟いた。
「そんなことは言ってられませんよ。少しずつ時間は迫っているんですから」
「わかってるよ。時間がないことくらいはさ……」
イヴの処刑が近づく中、二神悠斗も焦りは感じていた。
しかし、今突入しても自分には何も出来ないことも分かっている。
その微かな可能性は、二神の奥底に眠る能力だった。
「今は修行に集中してください」
「…………あぁ」
厨房から料理を持って出てきた店員は、その場に立ち尽くしていた。
(重い……なんか空気が重いよ、あそこ)
両手にはハンバーグセットとランチセット。
つまり、二神たちの席に料理を持っていかなければならない店員だった。
「何やってんだ。早く持っていけバイト!!」
「は、はい。すいませんです」
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