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溜め息をつきながらトボトボと歩いてバイト店員はテーブルに近づいていく。
「お待たせしました。ハンバーグセットとランチセットです」
テーブルに料理を置いて、そそくさと去っていく。
「なんであんな逃げるように行っちまったんだ?」
「……知りませんよ」
まぁいいか。と適当に言いながら、二神はハンバーグにフォークを刺し、口に運んだ。
やっと賑やかなテーブルの仲間入りを果たした二神たちは食事を始めた。
会話はなく、ただ黙々と食べている二人だったが、ふと二神は気づいた。
そそーっと、向かいの席に座っている東仙が自分の料理の中に入っていたグリーンピースを二神の皿に移動させていた。
「……なにしてんだ?」
「っ!!!!!?」
なんでそんなに驚いてんの? と思いたくなるようなリアクションだった。
ガタガタとイスを揺らし、手を顔の辺りまで持っていき、なぜ分かったという表情を浮かべている。
「べべ別にグリーンピースが食べられないと言うわけではありませんが、あなたのためを思ってですね……」
普段口数の少ない東仙が饒舌になっている。
それくらい同様しているようだ。先ほども思ったが、東仙歌神は子どもだった。
大人っぽい態度だったりするが、実はグリーンピースが嫌いという隠された苦手なものがあった。
「いやいや、別にいらねーし」
そういって二神はグリーンピースを返し始めた。
それを見た東仙は立ち上がり、二神の右手を持ち涙目で言った。
「食べてください」
(……ほんと内側は子どもっぽいんだな、こいつって)
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