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「で、なんでここに入ってくんだよテメェらは」
風紀委員室の中央にある四角い机を囲むソファーに、神谷、雨林、ユニバード、黒澤の四人が座っている。
黒澤は自分で淹れた熱いお茶を飲んでいるのに対し、雨林とユニバードはオレンジジュースを飲んでいる。
神谷は黒澤が淹れたお茶に口をつけずに、両腕を頭の後ろに回し足をフルに伸ばし、長細いソファーに寝転がりながら言った。
「なんでって、ここ以外に場所ある?」
「あるだろォが他にも、生徒会室だってよォ」
「あそこは閉めちゃった」
あはは、と笑いながら軽い調子で黒澤は言った。
「て言うかね、冗談はこの辺にしてさっ」
四角い机をバンッと勢いよく叩きながら言う黒澤に、神谷は「冗談じゃねーっつの」と小さく呟いた。
「これはただ事じゃないのよ。試験の時に続いてまた事件が起こって……。学園はボロボロじゃない」
「だァから、やった奴を潰しておいたじゃねーかよォ」
「犯人を潰したところで学園は戻らないし。っていうかアンタが暴れたせいで余計壊れたし」
神谷を責めるように、黒澤は次々と言葉を出してくる。
「確かにそれは一理あるな」
その言葉に今まで黙っていた木乃枷雨林も同意しながら、ウンウンと首を縦に振る。
「それに、その潰したっていう二人にも逃げられたじゃないの」
あの後、黒澤は来た瞬間だったが、一瞬の隙をついたマーシャル=フォルカスとクシル=フィールドは、空間転移術式により姿を消した。
試験の時の犯人と、今回の犯人は同じ系統の奴だということは、だいたい察しがつく。
やっと聞き出せると思った手がかりに逃げられたのは、そうとうショックだろう。
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