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「ま、終わったことを言っても仕方ない。話を変えるわよ」
黒澤の言葉に返事をする奴はいなかったが、それを了承だと思い、黒澤は続けた。
「そ・の・子。何者なの?」
風紀委員室の中で、一人だけ浮いている格好をしている、遠慮がちにソファーに座っているユニバード=セフィロスを指差しながら、黒澤は言った。
その質問は神谷蛭牙に向けられていた。
「俺が知るかよ。本人に聞きやがれクソッタレ」
チッ、と舌打ちをしながら神谷は適当に答える。
「それもそーね」
と言って、黒澤はユニバードに視線を移した。
その視線を感じたユニバードは、体をビクッと震わせて黒澤の目を見た。
数秒間、二人は見つめ合っていた。その間、神谷は何一つ変わらず、しかし雨林は微妙に重苦しい空気にソワソワしていた。
「私はユニバード=セフィロス。……彼たちと同じ“悪魔”です」
ユニバードが言う“彼たち”というのは、もちろんマーシャル=フォルカス、クシル=フィールドを指している。
悪魔。
その聞き慣れているようで、そうでない言葉を聞いた瞬間、黒澤と雨林はもちろん、あの神谷でさえ反応した。
「悪魔って、どういうことかしら。詳しく説明してもらえるの?」
「……それをあなたたちが望むのなら」
ユニバードは意味深に言葉を返した。
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