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いつの間にか…窓から光が差し込んでいた。
どうやら終わったと同時に集中が切れたせいか、今まで眠っていたようだ。
右手に当たる太陽の日差しがやけに優しく感じられた。
日溜まりの中で森林浴をしているような穏やかな時間のように、キーボードの前で突っ伏しているこの瞬間を、もうしばらく続けて居たかった。
そう思ってしまうくらい早朝の日の光や、その匂いは異様に心地が良かった。
…だが、そうも言ってはいられない。
一応は学生である身分だ。
とりあえず登校はしなければ、な。
怠い身体に鞭を打つように頬を両手で叩くと、綺麗な良い音がした。
それに、
今日は…大切な日。
たぶん、俺の人生でもっとも大切な…。
起きてすぐに俺は用意しておいたメールを一斉送信した。
そしてPCを鞄にしまい、急いでビルを出た。
外に出てすぐ、ケータイを見ると時間は4時半…
…朝陽が昇るワケだ。
とりあえず早く家に帰って学校へ行く準備しないといけない。
俺はビルの前に目立たないように隠してあった愛車に腰をかけると、ペダルに足をかけた。
都心なのに木々が生い茂った道、隙間から差し込む陽の光は窓の光ともまた違った柔らかさがあった。
家までの道のりは下り坂なので、一度漕ぎ出せば愛車が勝手に俺を家の方向へと運んでくれた。
これじゃ帰って寝直す時間ないかもな…
学校行く時間が来るまで何してようか…
そんな事を考えていると目の前に同じ高校の制服を着ている女生徒の姿が目に入った。
風貌は小柄で髪型はボブヘアー。
ぱっちりとした大きな瞳。
その姿には…見覚えがあった。
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