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「…なんだ…もう全部割れてんだな。
…ごまかし効くレベルじゃないのか。
ってことは…その辺あんたらの護衛がうじゃうじゃいるんだな。」
人間は隠し事をする時、ほんの少しだけ饒舌になる。
僕は全てを理解しつつ、そう言った。
そして開き直った子供みたいに僕は彼女を軽視してるように振る舞った。
それはすべてを台無しにした彼女達、組織の人間に対する苛立ちからきていた。
「私にはそんなの要らないけど。まぁ、ご明察。
あなたが今さっきまでいた場所にも私達の仲間が向かっている。
あなたの計画は完全に失敗だわ」
彼女は僕の棘のある言葉に対し、意にも介さなかった。
それが益々気にいらず、僕は怒りを隠すかのように笑いながら事の核について聞き返した。
「…はは、やってくれるじゃんか。
…いつから?
いつからあんたら気づいてた?」
「あなたが組織を立ち上げたその瞬間から。
あなたが私達の脅威となりうる存在だということは…"ある御方"が申されておりました
それから僅か1年…
ここまで大規模な組織になるとは仲間内は誰一人思わなかった…
わかってる…?
あなた達の動きは私達にとってもはや"問題"なのよ。
そして今日あなたがやろうとしていることは"問題"という二文字では到底済まない…
だから、あなた達は……今日ここで消失る」
なるほど。
ようするに…
"ある御方"
ってのは、俺の近しい人間ってこと。
組織内、もしくは組織外で俺の動きを把握する事が可能…。
そんな人間は…
「…親父…か」
「………
気づいてたの?」
「いや、今あんたから聞いた」
終始ポーカーフェイスだった彼女の表情が微かに歪んだ気がした。
「…まさかとは思ったけど…。
…で、俺はこれからどうなんの?
親父の組織のJKに殺されんのか?」
「そういう呼び方はやめてくれる?
…あなたには今日、組織に関わる記憶を全て消去させてもらう。
ボス
頭の消失…これで組織は空中分解ね。」
芽幸は言葉を吐き捨てるかのように言った。
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