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「ふっ…」
「…何が可笑しい?」
「わかってないな、芽幸…そんなんじゃまるで意味が無い。」
「…意味…?私達は意味の無い事なんてしない。あなたの記憶を失くし、あなたのやろうとしている事を止める事が出来れば、それだけで価値ある成果よ」
「"だから"だよ。土台が間違ってんだよ、お前。
記憶を無くした所で"俺は"消えることはない。
親父が指揮してる限りおれが死ぬことがあり得ないからな」
「……へらず口には聞き飽きたわ。拘束して。」
いつのまに現れたのか、俺の背後には全身が黒ずくめの男二人が囲むように立っていた。
その男はゆっくりと俺の腕を掴み、逃げ場は完全になくなった。
半ば諦めの気持ちで抵抗することもなく、俺は促されるままに奴らの用意した黒いバンに乗せられた。
車窓から見えた女子高生は氷つく程の冷たい瞳を崩す事なく、俺の姿は凝視していた。
うっすら瞳を閉じると、諦めの気持ちから妙な安堵感が産まれた。
その妙な安堵感は俺の意識へと眠気を誘い、ものの僅かな時間で俺は意識が朦朧とした。
それが、故意的にやられたものなのか、自然と睡魔に襲われたのか、はっきりは分からなかった。
そのまま
俺は意識を失った。
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