居眠り姫と目覚まし王子

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毎日この光景を目にしている僕らは、今となってはスルーだ。なぜかというと、まだ高2の4月ぐらいには、見兼ねた優しい人が食べ物を恵もうとしたのだか…「い…稲森さん、お腹空いてるんでしょ?こっ…これ、あげる!」 「………………。」 稲森はその鋭い目つきで心優しい人を睨む。 そして、稲森の口からは、「あんた…それで自己満足してんの?」 …こんな言葉が。 それはないだろ!と周りの人たちは心の中で突っ込んだだろう。 これ以来、徐々に稲森に近づく人間はいなくなった。 けれども彼女は何とも思っていない。 放課も1人。 昼休みも1人。 部活にも入っていない。 家では…? ………稲森は寂しくないのだろうか。 「おい!晃、何ぼさっとしてんだよ?」 「ん、あぁ、ごめん」 「俺の話聞いてた?」 僕はぼけーっとしていたようだ。 「考え事をしてたんだよ」「どうせ変なことだろ?」「ちげーよ!」 何で僕は稲森の事なんか考えていたんだろう。 …忘れよう。 彼女と僕はクラスメイトなだけであって、関係ないのだ。この先も関わることなんてないだろう。
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