視線のその先

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「チャミ。言いたい事はちゃんと口にしなきゃダメだよ?何時だって言いたい事も言わずに1人で抱え込んで、どうしようもなくなるまで我慢するんだから…せめて恋人の俺には本心を見せてよ。」 膝に置かれた僕の手をそっと暖かい温もりが包む。 小さい頃から誰に対しても本心を晒さなかった。 正確にはどうやって晒したらいいか解らなかったんだ。 そんな僕を理解してくれて受け入れてくれたのが優しいヒョン達であり 愛しい恋人だった。 「もっと甘えたら?」 握られてる手に力が隠る。 「僕、以外を…見ないで。女の子なんて…嫌です…」 俯いたまま呟けば腕を引かれ日溜まりみたいな温もりに抱かれる。 「他には?」 「もっと、もっと…愛して…僕を…離さないで…」 「俺はチャミだけを愛してるよ。他は何も要らないくらいチャミだけが必要なんだからね?」 何かちょっと嵌められた感はあるけど 素直な気持ちを言えるようにしてくれたのには感謝しないとな。 これからはもっと素直な気持ちを言えるようにするから 余所見なんかしないで視線のその先には僕だけを映してて。 その視線は僕だけのものだから。 fin.
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