品川事務所

7/8
前へ
/116ページ
次へ
  「この後、沙織の家、行っていい?」 沙織は一瞬、黙った。 「・・・・・・う、うん、いいよ」 でも、喜んだ声だった。 「わかった。 じゃあ、俺、一度、寮に戻ってから行くから」 「うん」 残業続きの男の一人暮らし。 大抵、土曜は、洗濯、掃除、睡眠で終わる。 寮に帰って洗濯くらいはやっておかないとマズい。 「じゃあ、多分、七時ぐらいには行けると思う」 「わ、わかった」 「うん」 「え、えっと、ゆ、夕飯は? よ、よかったら作るけど」 沙織の声は自信なさげだった。 作れるのか、料理? まあ、マズくても、我慢するけど。 「うん。じゃあ、お願い」 「何、食べたい?」 「うーん、肉かな、元気でそうなやつがいい」 俺は肉食。 「うん、わかった。じゃあ、七時くらいに」 「うん。何かあったら電話する」 「はい。じゃあ」 沙織は電話を切った。  
/116ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1497人が本棚に入れています
本棚に追加