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『ねぇ、コウちゃん』
俺をそう呼ぶ彼女の声。
大げさすぎるかもしれないけど、
何もない、出口もない、
終わりもない世界に差し込む光みたいだった。
初恋はいつの間にか始まっていて、
そして、
静かに終わった。
――――――――――――――――――――――――
「………」
「…光輝?」
シャツの中に潜り込ませた手を止めた。
だめだ。
あの子のことを思い出すと、急に色んなことが、
無意味で、汚くて、恥ずかしいことに思えてしまう。
「…なんか、もういいや」
「え?」
「じゃあな」
後ろで名前を呼ばれたけど、俺は振り返ることなく階段を降りた。
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