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数分前まで静かだったのに、一気にうるさくなった。託志はまたため息をつき、二人に背を向けて本格的に昼寝の体勢に入ろうとした。ところでポケットに突っ込んだままの携帯電話が震えた。
だるいなぁ、と思いつつも携帯電話を開く。カチッ、カチッ、とボタンを押して、表示された差出人を見る。託志はまぶたと一緒に携帯電話を閉じて、起き上がった。
「んぉ、託志、ようやく俺と戦う気になったか!?」
「私にネタを提供する気になりましたの!?」
目を輝かせる二人を手で払う。
「どっちも違う。ちょっと千束(ちさと)迎え行ってくるから」
「なっ、お前俺との友情よりもあの女を優先するのか!?」
「那由多お兄様、今の台詞、『との友情』を抜かしてもう一回!」
うるさい二人を置いて廊下に出る。こっちはこっちで、放っておくと面倒なのだ。
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