参 イトククリ

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 宗則相手だといまいち気乗りしないのが難点だが。どうもこの男、性癖や好みの点で千束と似ていて、複雑なところがある。それに水と油と言うべきか、性格もいまいち反りが合わない。財部家全体がそんな感じなのだが、宗則相手だと余計にだ。  必死に抵抗するも力が入っていない宗則の腕を、解いた赤いネクタイでまとめる。 「っ、千束ちゃんやけに手慣れてない!?」 「ほら、昔取った杵柄って言うし」  昔とは言ってもつい昨日の事だから、正しくは経験済みだから、になるのだろうか。どこぞのブランド物と思しきワイシャツのボタンをぷちぷちと外していく。あまり日焼けしていない肌は白いとは言っても黄色人種の域を出ず、皮膚が薄いわけではないので毛細血管がはっきり分かったりもしない。モデルとしての体形維持はしっかりしているらしく、体付きはなかなか綺麗だった。
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