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「うくっ……!」
いつもかっこつけている宗則の口から、弱々しい呻きが上がる。宗則は歯を食いしばるが、それだけでは押し殺す事も難しい。
「千束、ちゃ……っ、ちょ、もっと優しく、さぁ……っ!」
そんな事言われても、手加減出来るなら苦労しない。力を舐め取り、吸い上げ、きちんとした勝利を手に入れようとするが、はたして勝つための行為なのか、それとも力が気持ちいいからしているだけなのか、少しずつ分からなくなっていく。相手が気乗りしない宗則だとしても力を取り込むのは、どこか気持ちよかった。
吸い取れる力がなくなってから、ようやく千束は宗則の手首を縛っていたネクタイをほどき、上からどいた。宗則は自由になった手で目をおおって数度深呼吸すると、けだるげに体を起こし、ワイシャツのボタンを留めていく。
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