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「……まあいいけどねぇ……親父殿と優斗から説教だなんて気が重いなぁ」
「負けたのは宗則でしょ?」
「そうなんだけどね。千束ちゃん、せいぜいがんばってよ。でないと余計に親父殿に何か言われそうだ」
「言われなくても、あたしは勝つよ」
「頼もしい事で」
肩をすくめ、宗則は「“イトククリ”」と呟いてから軽く腕を回した。するといくらか糸が巻き取られる。千束は背を向け、糸だらけの公園内を抜け、外に出る。まだ日が沈む途中の空を見上げて家に向けて歩き出した。
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