肆 戦う事

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 その十六日の夜半の事だった。夕食も風呂も済ませ、まどろんでいた千束は、突然鳴った電話のベルに起こされた。 「ん……」  ソファに座ってテレビを見ていたのだが、いつの間にか睡魔に呼ばれていたらしい。昨日といい今日といい、力をよく使ったので疲労が溜まっているのだろう。電話に出るために起き上がろうとするが、膝がやたらに重く立てなかった。見れば、託志が膝の上に上半身を乗せて伸びていた。テレビを見始める前は床の上で溶けていたはずなのだが、いつソファに上がってきたのだろう。 「はい、摩壁です!」  トタトタと軽い足音がしたかと思うと、元気のいい声が聞こえてきた。どうやら優奈が出てくれたらしい。
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