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「戦(いくさ)を開こう」
――山の上に造られた屋敷の、ある一室にて。茄子紺の着物を着た男性は、同じく花色の着物姿の少年にそんな事を言った。
「戦、ですか」
「うん。優斗(ゆうと)も今年で二十歳だろう? 開くなら今かな、って」
窓から庭の向こうを眺めつつ、男性は何も生えていないあごを撫でた。
「何人ぐらい参加するだろうね。分からないけれど、楽しみだなぁ」
少年は答えない。ただ男性と同じように遠くを見ていた。
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小夜嵐(さよあらし)一族――一般人は知らない者も多いが、政界や経済界では知らぬ者はいないとも言われる「特殊な」一族だ。その血筋は長く、一説には天皇家の次とも言われている。もっとも家系図が残っているのは戦国時代辺りからだが。
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