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「次期当主とか、面倒だし」
「何でだよ!?」
「そういうのは他の奴に任せればいいし。俺、弱いし」
「んな事ねぇって! お前やる気出せば強いって、やれば出来る子だって! 今回ぐらい参加しようぜ!?」
「えー」
半分涙目になりながら必死に説得しようとする那由多だが、託志が動く気配はない。体を揺さぶる手にも無抵抗だ。何かのおもちゃのように顔が揺れている。
子供の頃から二人はこんな感じだった。那由多は何かと託志に勝負を持ちかけるのだが、託志は一切応じない。どんなに下手に出ても、破格の条件でも、何かご褒美がついても、託志は戦う事を嫌う。いや、正しくは何かにエネルギーを使う事を嫌う。
簡単に言えば。
託志は生粋の怠け者なのだ。
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