序章

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「…っ…!!」 リオンの瞳から溢れ出た透明な雫が、頬を滑る。 『何故、泣く?』 「あれ…?アハ…何でだろう?」 リオンは無理に笑顔を作ろうとしたが、うまくいかなかった。 『……泣くな』 リオンは涙を拭うと、小さな聖獣をそっと抱き締めた。 『!?』 身じろぐ聖獣を気にせず、リオンは呟くように言った。 「僕が君に名前を付けてあげる。君は…そうだなぁ、ジル。君は、ジルだ」 『ジル…か』 「嫌?」 『いいや…。気に入った』 「良かったぁ。ねぇ、ジル。君は何処に住んでいるの?」 『…ぃ…』 「ん?」 『ない…。俺は追放された』
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