第十章

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「ジル」 静かなリオンの声音に、ジルは黙ってリオンの肩に移動する。 『何だ』 「ヴァンにそんな難しい事を望んじゃダメだよ。 それより、数が多すぎると思うんだけど…」 リオンは前方から感じる気配が、夥しい量であると感じた。 『うむ。ざっと200体程であろうな』 「う…ん。おかしいなぁ、動物達が嘘をつくわけないし…。 安全の筈なんだけどなぁ」 リオンは困った様な顔をして首を捻った。 「で、どうすんだよリオン?」 ヴァンは冷や汗を拭いながら問う。 「二人はここに居て。 僕とジルで中に行く」 「はぁ!?危険すぎるだろ!! お前、死ぬ気か!?」 「そうだよ、リオン! 中は真っ暗だし、相手が何なのかも解らないじゃない」 「大丈夫だよ」 リオンは安心させるように、ふわりと笑う。 3人が話している間も、洞窟の奥からは低い唸り声が響いてくる。 リオンには、何となくこの声の主がわかっていた。 「ジル、明かりをお願い」 『ああ』 ジルが頷くのを横目で見遣り、リオンは暗い洞窟の中に足を踏み入れた。 .
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