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「ジル」
静かなリオンの声音に、ジルは黙ってリオンの肩に移動する。
『何だ』
「ヴァンにそんな難しい事を望んじゃダメだよ。
それより、数が多すぎると思うんだけど…」
リオンは前方から感じる気配が、夥しい量であると感じた。
『うむ。ざっと200体程であろうな』
「う…ん。おかしいなぁ、動物達が嘘をつくわけないし…。
安全の筈なんだけどなぁ」
リオンは困った様な顔をして首を捻った。
「で、どうすんだよリオン?」
ヴァンは冷や汗を拭いながら問う。
「二人はここに居て。
僕とジルで中に行く」
「はぁ!?危険すぎるだろ!!
お前、死ぬ気か!?」
「そうだよ、リオン!
中は真っ暗だし、相手が何なのかも解らないじゃない」
「大丈夫だよ」
リオンは安心させるように、ふわりと笑う。
3人が話している間も、洞窟の奥からは低い唸り声が響いてくる。
リオンには、何となくこの声の主がわかっていた。
「ジル、明かりをお願い」
『ああ』
ジルが頷くのを横目で見遣り、リオンは暗い洞窟の中に足を踏み入れた。
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