1738人が本棚に入れています
本棚に追加
/328ページ
「久々の町だなぁ。学園まで馬車で1日半かかるんだよね…」
苦笑を浮かべながら、リオンは歩き馴れた森を進む。
何と言っても、リオンの祖父は、かなり辺鄙な場所に住んでいるが故に、人が生活を営む町までもかなり遠いのだ。
「入学式は、あと5日後だし、制服は町で受け取らなきゃいけないし、結構大変だなぁ」
独り言を呟くが、リオンは学園に行きたくないわけではない。
祖父の家に上がり込んでから、必死に勉強や体力作りに取り組んで、漸く勝ち取った特待生。
これで、学費免除や食堂の無料利用等の特典で、祖父に迷惑が掛からない。
リオンが通う予定の学園は、国内でも超名門のナリティア学園。
勿論、貴族の子供達も通う為、大規模な学園都市になっている。
「友達…出来るかなぁ?」
泣き笑いのような、悲し気な笑みを浮かべ、リオンは呟いた。
元々少人数の村人に、リオンと同い年は居らず、初めて出来た友達は、ジルであると言っても過言ではない。
しかし、ジルはもう居ないのだ。
(…ジル、僕は強くなるよ。もう、何も失わないために)
最初のコメントを投稿しよう!