第一章

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「久々の町だなぁ。学園まで馬車で1日半かかるんだよね…」 苦笑を浮かべながら、リオンは歩き馴れた森を進む。 何と言っても、リオンの祖父は、かなり辺鄙な場所に住んでいるが故に、人が生活を営む町までもかなり遠いのだ。 「入学式は、あと5日後だし、制服は町で受け取らなきゃいけないし、結構大変だなぁ」 独り言を呟くが、リオンは学園に行きたくないわけではない。 祖父の家に上がり込んでから、必死に勉強や体力作りに取り組んで、漸く勝ち取った特待生。 これで、学費免除や食堂の無料利用等の特典で、祖父に迷惑が掛からない。 リオンが通う予定の学園は、国内でも超名門のナリティア学園。 勿論、貴族の子供達も通う為、大規模な学園都市になっている。 「友達…出来るかなぁ?」 泣き笑いのような、悲し気な笑みを浮かべ、リオンは呟いた。 元々少人数の村人に、リオンと同い年は居らず、初めて出来た友達は、ジルであると言っても過言ではない。 しかし、ジルはもう居ないのだ。 (…ジル、僕は強くなるよ。もう、何も失わないために)
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