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「何を書いてるの?」
アルファードの後を追って外に出たリオンは、地面に木の棒で何かを書いているアルファードに近付いた。
「転移の魔方陣だ。後ちょっとだから、待ってろ」
「うん」
リオンは頷くと、猫のように伸びをして、小さな村を見渡した。
ポツポツと見える家々や、さわさわと風に揺れる野草。
まさに田舎の風景だが、リオンはこの、のんびりとしたのどかな雰囲気が好きだった。
「よし、出来た!」
父の言葉に振り返ると、地面には複雑な紋様が描かれていた。
「すごい!これが転移の魔方陣かぁ。細かいなぁ」
初めて見た陣に、リオンは興味津々な様子でまじまじと見ていた。
「まあ、学園で教わったやつを少しアレンジしたんだよ」
「学園?」
「そう。かなり昔に卒業したが、色々教われてそれなりに役立つから、今更ながら行って良かったと思うよ」
懐かしむ様に遠くを見るアルファードの様子に、リオンは胸が踊るようだった。
「僕も学園行きたいな!
そしたら、魔法を使えない僕でも、皆の役に立てる事が見付かる?」
キラキラと輝く瞳を向けられ、アルファードは苦笑した。
「そうだなぁ…、魔法が使えないのは結構厳しいかも知れないが、薬草学とかなら調合するだけだから、お前でも出来るかもな!」
「本当!?やった!沢山勉強して、どんな病気でも治せるようになって、皆を喜ばせたいな!」
にこにこと笑って言うと、父は苦笑してリオンの頭をくしゃくしゃと撫でた。
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