序章

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しばらく進んでいた時だった。 「っ…!?」 急にアルファードが立ち止まり、警戒をするように辺りを見回した。 「どうしたの?」 「囲まれた」 恐々と尋ねたリオンに、アルファードは短く答えた。 ハッとして辺りを見回すと、先程までなかった黄色い点が、2人をぐるりと囲んでいる。 これが魔物の眼光だと気付くのに、時間はかからなかった。 アルファードは腰に提げていた長剣を抜くと、リオンを庇うように構えた。 「ワーウルフか…ちょっと厄介だな」 アルファードは油断無く見回しながら、内心舌打ちをした。 ワーウルフはランクDの魔物だが、風属性でスピードが早いのが特徴だ。 「リオン、お父さんが隙を作るから、その間に逃げろ」 「えっ?やだよ!僕もお父さんと戦う!」 「駄目だ!お前は魔法を使えないし、武器もない。 良いか、逃げることだけを考えるんだ。 それに、お父さんがこんな魔物に負けるわけないだろ?」 泣きそうな顔のリオンに、アルファードは安心させるように微笑んだ。 「…わかった」 リオンは小さく頷いた。
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