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どれ程走り続けただろうか。
リオンの息は荒くなり、体のあちこちに、葉で出来た小さな切り傷が見られた。
疲れのせいで体が重いが、無理矢理足を動かす。
まだ昼にもかかわらず、森の中は薄暗く、夜だと錯覚してしまいそうだ。
「はぁ…はぁ…はぁ……もう、走れない」
リオンは近くの木に背を預けると、ズルズルと座り込んでしまった。
「お父さん…」
無意識に口から零れ、リオンは自分にびっくりした。
(アハハ…僕、ここまで追い詰められたの初めてかも)
苦笑を浮かべ、ふと視線を動かす。
「あれ…?」
リオンは少し離れた木の根元に、もぞもぞと動く物を見つけた。
(何だろう?黒いから気付かなかった)
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