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「神様、それってもしかして俺がもう左では投げれないってことですか?」
コクリ。
神様は首を縦に振った。
一瞬の間。
「なんでですか?なんでそんなことをしたんですか?」
俺は今すぐキレて殴りたい気持ちを押し殺して、冷静を装って聞いた。
「オヌシに世の中の厳しさを知ってもらうためじゃ。」
俺はとうとう我慢の限界を超えた。
「ふざけんなぁ!どういう意味ですか!なんで!俺がこんな目にあわなきゃならないんですか!」
「オヌシは知っておるか?かつて、怪物とか天才とか言われた選手の多くが辿った運命を。」
「知りません。」
「なら教えてやろう。多くのそんな選手達は、チームでハツケにされ、孤独を感じ、好きな野球が嫌いになり、才能を腐らせる。オヌシにもその運命を辿る可能性があった。」
「…………。」
「オヌシの夢はプロ野球選手になることじゃろ?しかし、その以前に野球が大好きなんじゃないのか?」
…………確かにそうだ。………野球は大好きだ。………でも………左利きの俺からその大好きな野球を奪おうとしてるのは紛れもなく、あんたじゃないか。…………。
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