はじまり

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  「――――ごめんね! ・・・遅くなっちゃったー!」 数十分後。 とんとんっ、と 特に急ぐ様子も無く ゆっくり階段を登って来る音。 その音と共に 何処か気の抜けた声が 下から響いて来た。 「トウヤ、チェレン、待っ トウヤ「・・・あぁああ、 ベル来ちゃったか。」 チェレンと 取っ組み合いをして居た彼が、 何故か指を鳴らして 少し残念そうな顔をする。 チェレン「ベル、漸く来たね・・・」 組み合って居た彼を 軽く突き放し、 溜め息を吐くと 髪を整え始めた。 ベル「はーい、 ごめんなさーい。」 白いラインの入った 黄緑色の帽子を被ったその少女は 大して悪びれる様子も無く、 自棄に目立って居る 大きな箱へと近付いて行った。 ベル「・・・それで、 ポケモンはまだなのー?」 目をきらきらと輝かせ、 ソレをじっ、と見詰める彼女。 チェレン「君を待ってたんだよ・・・ 全く、いつもいつもマイペー トウヤ「取り敢えず眼鏡は黙る!」 彼女の横に居た彼を 思い切り突き飛ばし、 無理矢理に彼女の手を取った。 トウヤ「ベルのマイペースさは チャームポイントだ。 ステータスなんだよ。」 チェレン「・・・はあ・・・全く・・・」 訳が分からず困惑する彼女。 眼鏡の彼は溜め息を吐いて 箱へと近付いて行った。 チェレン「ベルが何十分遅刻するか。 その賭けは僕の勝ちだから・・・ ポケモンは 先に選ばせて貰うよ?」 彼女が部屋に入って直ぐ トウヤの反応が 可笑しかったのは、 賭けをして居たのが理由な様だ。 トウヤ「おーおー、 持ってけ泥棒。」 未だに彼女の手を 優しく握って居る彼が、 幸せそうな顔をしながら言う。 チェレン「・・・君って奴は ベル「早くポケモン選ぼうよー!」 慣れた手付きで 彼の手を振り解くと、 彼女も箱へと近付いて行った。 トウヤ「・・・・・・。」 彼の目に映るのは、 幼馴染である二人が触れて居る カラフルな大きい箱。 "早く開けよう" "もう少し丁寧に"、と 聞き慣れた声が聞こえる中 彼は暫くの間 その場に立ち尽くしたまま 箱をじっと見詰めて居た。 トウヤ「・・・・・・♪」 これから想像も出来ない 大きな出来事を、 共にして行くパートナー。 彼等三人はその箱に眠る 小さなパートナー達に 漸く出会う事となる・・・。  
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