それはある日、突然に。

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「瀬名ちゃん、お昼にしよ」 「あっ、ハイッ」 振り向き様に返事をした相手は、瀬名の先輩である同じデザイナー、小池(こいけ)あやの。 二人はバッグから出した自分の弁当を手に休憩室へと向かう。 会社の事務所はマンション内のある一室を改装されている為、休憩室といっても一般家庭のダイニングとさほど変わらない。 広々としたダイニングテーブルを挟み向かい合わせで腰掛けた。 どうやら昼休憩は二人きりのようだ。 「あれ、私達だけですか?」 「一時間半くらい前にお客さんとこ行くって出てったよ。瀬名ちゃん気付かなかった?」 「はい…全く…」 「相変わらずの集中力だねぇ」 広い、とは言い難い事務所。スタッフのデスクは一区画に固まっているのだから、誰かが外出の為に身支度している時点で気が付きそうなものだが。 パソコン作業となると目の前の画面しか意識に入らなくなる瀬名の姿勢に、あやのは半ば感心といった声をあげた。 「私も集中して仕事しなきゃなー。昼から気合入れなきゃ。」 「何かあったんですか?」
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