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春らしく真っ白で清楚な膝丈ワンピースに、デニムジャケットを羽織ったあやの。
鮮やかな紺のシャツにストライプの入ったスーツを纏う保志沢は、まるでホストを彷彿とさせる。
眼鏡を掛ける星也は、ライダージャケットに革パンツと一目でバイク乗りと分かる格好だ。
その隣には、長袖Tシャツにダウンベスト、下はジーンズ姿の初めて目にする男性。
清潔感のある全体的にすかれた短い髪は、眉よりも上の前髪が印象的だ。
おそらく昨日話に挙がっていた新入社員だろうと瀬名はふんだが、尋ねる前に保志沢が説明を始めた。
「新しくウチに入ってもらうことになった、滝本 涼(たきもと りょう)君。
来週から一緒に働くから」
「月曜日よりお世話になります!宜しくお願いしますっ」
明るくハキハキとした口調で、瀬名以外の他のメンバーには済ませていた自己紹介を改めて行う。
まだ幼さが残る笑顔を浮かべる彼は、瀬名が一番近い年齢であろう。
「北川瀬名です。宜しくお願いします」
瀬名も軽く会釈した。
「ウチの会社も結構波に乗ってきたからさ、そろそろ営業面のサポートが欲しいなって思って。
しばらくは俺の補佐をしてもらって、俺が忙しい時は代わりに営業に行ってもらう予定」
(えっ、営業…!)
保志沢の放ったフレーズに、思わず瀬名の心臓が跳ねる。
ふと浮かんだのは昼間自宅に訪れた営業マン。
真剣な眼差しと、告白の言葉。
(…何でこんな時にっ…あの人の事はもういいのに…)
散々あれほど悩まされたのに、どうしてこうも心から離れないのか。
経験したことのない感情に戸惑う。
邪念を振り払うように『あの人』に対する思考を追い払おうと首を振った。
「どうかした?」
「えっ、あ、いや…虫が…」
慌ててごまかす今の自分は、きっと随分赤い顔をしているに違いない。
夜で良かったと、瀬名は胸を撫で下ろした。
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