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「そんじゃ皆さんお揃いってことで!花見でも始めますか!」
保志沢が音をたてて両手を合わせたのを合図に、全員が歩き出した。
どうやら座れる場所が確保してあるようだ。
保志沢はあやのと並んで、他人と距離を置く星也は一歩下がって歩く。
その後方を瀬名と滝本が追った。
「お前、ちゃんと場所とっておいたんだ」
「んー、夕方に来たらもう座れる所無かったんだけどさ、声掛けたら譲ってくれた人がいたんだよ。優しいよねぇ」
やり取りする保志沢と星也の後ろで、自然と横に並んだ滝本が瀬名に話し掛ける。
「ほし…じゃなかった、マスターから聞いたんですけど、瀬名さんはずっとデザインやってるんですね」
既に呼び方までレクチャーされている事に少々驚く瀬名。
「はい…あ、滝本さん敬語使わなくていいです。私のが絶対年下ですし」
「そう?じゃあ遠慮なくタメ口でいくね。
でもそっちこそ、僕に対して敬語じゃなくていいし『涼』でいいよ。
ここはみんな、下の名前で呼びあうみたいだから」
滝本―――涼は屈託のない笑顔で提案する。
きっと誰に対してもフランクな姿勢なのだろう。
気さくな態度にのせられてか、どちらかといえば普段控え目な瀬名も饒舌になってしまう。
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