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「もうっ、埒が明かないっ!
行かないって言ってるでしょ!!本当いい加減にして!!」
何度断っても遊ぶ方向に話を持っていかれてしまう堂々巡りの状況に、我慢の限界を超えたあやのが声を荒げた。
普段他人に対して、ましてや初対面の相手には決して強気な言い方はしないあやのだが、あまりにも人の話を聞かない横柄な態度に思わず怒りを発していた。
(しまった…言い過ぎた…!)
ハッと我に返り顔を上げれば、目の前の高校生二人組は眉と口元が歪んでいる。
「あ?何ですか。自分だけオトナだからって偉ぶってるんですか」
「つか、オトナっつたって女じゃん。犯すの簡単だし?」
二人組が徐々にあやのに詰め寄る。
高校生とは言え体格は成人男性と何ら変わりない。
蔑む様な目付きで見下ろしている。
たじろぐ姿勢を見せたら負けな気がして、あやのは強気に睨み返した。
瀬名もいたたまれなくなり、覚悟を決める間も無く即座に前に出て反論する。
「調子に乗ってるのはあなた達の方―――…」
「それぐらいにしておこっか」
瀬名の言葉に、聞き慣れた声色が被さった。
(―――マスター…!!)
瀬名とあやのの後方から、ゆっくりと二人組に近付く保志沢。
信頼出来る人物の思わぬ登場に瀬名は安堵し、あやのの鼓動は大きな音を立てた。
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