それはある日、突然に。

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「コ、ン、パ」 まるで一昔前の少女マンガさながら花や星が飛ぶヒロインかのように、ウィンクしたぶりっ子ポーズをとる。 いくら端正な顔立ちとはいえ、三十にもなった大人の男性がするには無理がある。 瀬名とあやのは思わず顔を見合わせ沈黙した。 「引かないでよ、コンパは冗談だから。 来週から新しく一人スタッフが増えるんだよ。だから歓迎会」 初耳だ。新入社員ということだろう。 しかし入社日よりも前に歓迎会というのも妙な気がする。 瀬名が疑問を感じていると保志沢は話を続けた。 「本当は来週にしようかと思ったんだけど、色々と納期迫ってて全員揃わないかもしれないからさ。 空けておいてね。ヨロシク」 周りの都合も聞かず勝手に予定を組む方が全員揃わないかもしれないのに、と瀬名は内心嘆く。 あやのもきっと同じようなことを感じていたのかもしれない。 複雑な表情で一つ息をつき「空いてますよ」と返す瀬名だったが、 「明日の夜は特に予定はないですけど……あっ…」 承諾の返事をしながら途中である事に気付き、思わず声を上げた。
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