奥様は♂17歳

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(参ったな……) 俺は、もう、祐一くんに、何も言えなくなってしまった。 こんなに、慕って来る可愛い子を邪険に出来ない……。 「わかった…わかった、一緒に暮らそう」 俺は、祐一くんの背中をポンポンと軽く叩いて言った。 「けど、祐一くんは、まだ未成年だから、ご両親の承諾を得ないと」 俺がそう言うと…… 祐一くんは、下を向いて。 「僕……帰る家無いの」 ポツリと呟いた。 「えっ……どういう事!?」 俺は、祐一くんの顔を覗き込んだ。 「僕……僕の本当のお母さんは死んじゃった……」 「それって?どういう事?」 確か、響子と遊びに行った時に両親は居たハズだけど? 「おじさんとおばさんは本当のご両親じゃないの?」 俺は訊いてみた。 「うん……僕、愛人の子供だから」 「えっ!?」 そうだったのか…… 「お母さんが亡くなって、僕はあの家に来たけど、僕の居場所は無いんだ」 祐一くんは、また、ポロポロ涙を零した。 俺は、祐一くんの顔を上に向けさせて、涙を両手で拭った。 そして、祐一くんをギュッと抱きしめて 「わかった、わかった……もう何も言わない」 「じゃ、ずっと、一緒に居てくれる?傍に居ていいの?」 祐一くんは瞳をキラキラさせて言った。 「ああ……もちろんだよ」 「ありがとう!!」 祐一くんは、ギュッと抱き返して来た。 可哀想に、苦労したんだね……。 俺は、胸の奥が熱くなった。
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