序章

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―きろ。…きろ、起きろ…。 声が聞こえる。誰だ? 「んん…。」 起きろ…起きろ。 「んぁ?」 声が消えた。なんだったんだ、今の頭に直接響く感じ。 「ッ!!」 俺は立ち上がった。 そうだ、俺は何かに導かれて歩いていて、それで、それ…で? 思い出せない。 考えると、頭がクラクラする。まるで麻酔でも打たれたみたいに。 周りを見渡すと、うっそうと草木が生い茂っている。 少し寒い。酸素が少し薄く感じる。山の中かどこからしい。 「ッ!?」俺は何かを避けた。 風を切る音と後に何かが傍らの木に刺さる。 「うぉ!?なんだコレ!!」 矢だった。 しかし、なぜ俺は避けられたのだろうか?見た感じだと、この矢は弩によるものだ。 射出速度も木に刺さっている時点で相当なのだろう。 ?なぜ、俺はこんな事知って… 「おーい!」 矢が飛んできた方から、声が聞こえた。 「おーい!誰だ?そんな所にいるのは!!」 一応、聞いてみるか。 「すみませーん。 お聞きしたい事があるのですが~!!」 「んな事より、こんな所に居たら、射たれっちまうぞ~!!」 うたれる?…射たれるか💡 ってなんだと? 「ここはどこなんですか~!!」 「ここは戦場だぞー!!! 早く逃げろー!!」 戦?場?? さっき、深い霧の中に居た時はそんな事なかったハズだ。 静かだったし、人もいなかった。とにかく走ってこの場を抜ける事にした。 しばらく走った。たまに銃火器などが落ちていたが、俺ですら形式が古い事が見て取れた。 形が火縄銃と大差ないのだ。 少し走った所に広場らしき所が見えた。人がいないらしかったので、広場にて少し休む事にした。 広場に踏み入れた瞬間、俺の体は蜂の巣になった。 待ち伏せていた兵のようだ。 くそ…。体の感覚がなくなって…いかない? むしろハッキリとしてきた。 オレの周りに兵士が数人集まってきた。 「なんだ、日本兵じゃねーのか」 「民間人か?ったく、なんでこんな所に…」 「隊長にばれたら面倒だ。 今のうちに埋めちまおうぜ。」 「そうだな。んじゃ早速… ぐ、ぁぁぁぁあ!!!!!!」 一人が俺に触れたようだ。 「どうした… うわぁぁぁぁ!!!?!?!? お前、手が、手が!?」 「お、おい… 見ろよ、こいつの体から流れてるの…」 「たすけ、助けてくれぇ!!」 先ほど、オレに触れた奴が叫ぶ。「腕が…腕…が!!」 俺は気付かれないように薄目を開けた。 オレに触れた奴の肘から先が、無くなっていた。 切り口は何故か赤くはなかった。灰色と白を混ぜたような色。
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