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一呼吸おいたあと、翔はあの後のことが知りたかった。
「あの子は助かったのですか?」
それだけが気掛かりだった。
「君に突き飛ばされたとき、擦り傷程度の軽傷はしたけれど命に別状は無かったよ。」
(…よかった。
俺がしたことは無駄ではなかったんだ……)
翔が見た映像と情報は、いつも通り自分は学校へと歩いていて、二年間で仲良くなった交通安全の旗を持つおじさんに挨拶をしていた。変わらない朝の光景であった。
しかし、そこからいつも通りではないことが起きてしまった。
これまたいつも通り、後ろを歩いていた小学生の集団のさらに後ろから、時速80キロは出ていそうな速さで走ってくる一台のプリウスがあった。
(減速しない!?)
そう思ったあと、翔は無我夢中に行動していた。
横断歩道に子供たちが差し掛かったところで、翔も飛び込み、先頭の女の子を突き飛ばし…撥ねられていた。
そこで意識が途絶えた。
映像と情報もそこで終わっていた。
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