フローヴァルのち馬車

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俺がマスターと闘ってはや二週間と三日。ただその内の三日間はギルドの空き部屋でドリームさんの二回使用により寝続けていた。 あの時、閉じ込められたと思って自棄になって使ってしまったのは仕方無い事だったホント。 そして何より起きてからが大変だった。 見覚えのないホテルの様な八畳程の綺麗な洋室で目覚め、取り敢えず状況を訊くために人を探し歩いた。 多くの部屋を開けては閉め開けては閉めを繰り返しながら、偶然見つけた階段を降りていくと酒の匂いが漂う場所に着いていた。 入口から反対側だったので気付くのが遅れたが、そこがギルドだと少しして理解した。 そんな俺を一人が見つけるとまるで雪崩の様に人が押し寄せてきて言葉が飛び交った。 その何れもがマスターとの闘いの真相を確かめようとするものばかり。 本当はどっちが勝ったんだとかそんな感じだったかな。 しかしマスターのためを思い、覚えてませんと嘘を言っておいた俺は出来る子だ。実を言えば俺も何故か記憶が曖昧になっていたし。 そんなこんなで人混みをかき分けギルドを抜け出し、仮住居の天心まで帰っていくと定休日の札が掛かっていた。 しかし俺は従業員。何の躊躇いもなく入っていくと、1つのテーブルでマスターにレイアさん、フーにミーシャに店長さんにエアリィさんの順に円になり、皆が談笑していた。 そして帰ってきた俺に皆が気が付くと快復を祝ってくれた。 何でも今日のこの時間に起きるだろうと店長さんが予知らしきものをしたから皆で集まり俺を迎えようとしたらしい。 店長さんパネェとホントに思ったね。 それから店長さんの奢りで出された三日ぶりの飯を堪能し、マスターの済まなかったな発言にツンデレですか?と返し凍らされかけたり、宿の修理費を返してもらったり、クエストについての話を大人な女性二人から聞いたりしながらその日を過ごした。 そして次の日、ギルドでメンバーカードを発行してもらった。 階級は1~10でその上がマスターとなり、上位ランクのメンバーが付き添えばその上位の者のクエストにも行けるらしい。 ただし上一人で下二人までの制限がある。 その某ゲーム風な設定に興奮し、俺は今日まで薬草採りからペット捜しまでひたすらに1のクエストをやり続けた。 勿論、店の皿洗いなどもしっかりやっていたさ。 そして今日、何故かマスターの部屋に呼び出された次第である。
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