フローヴァルのち馬車

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考えた末、二個までなら大丈夫だと自分に言い聞かせながら一階まで降りてきた俺。 そして酒場を見渡せば成る程、人はいるがランク8以上のメンバーはいないようだ。まあ来ていないだけってこともあり得るけど。 この一週間の内にエアリィさんからクエストでいない高ランクのメンバーの名前と風貌は聞かせてもらっていた。 中には一年以上帰ってきていないメンバーもいるらしい。 しかし、ミストという名は聞いた記憶がない。ただ単に俺が聞き逃しただけなのだろうか。 「あら?翔くんじゃない。ちょっとこっちに来てくれる?」 ちょうどエアリィさんがカウンターから出てきて俺を呼んだのでカウンターの一席に座った。 「どうしたんですか?」 「ふふ、聞いたわよ~。お城で護衛のクエストやらされるんだって?」 エアリィさんは何処で知ったのか楽しそうに笑いながら訊いてきた。 しかし情報漏洩以外の何物でもないぞこれは。 機密事項だろ王家からの緊急クエストなんだから。 「あら、心配しなくてもいいのよ。この話はスフィアから直接聞いたんだから」 カウンターに両肘をつき顔を両手に乗せニコニコしながらエアリィさんは言う。 「あぁ……」 二人の関係はマスターが小さい頃はエアリィさんのことをお姉ちゃんと慕っていたほどの仲とレイアさんから教えてもらっている。 ならしょうがないなうん、うん… 「それとね……」 急にエアリィさんの表情が真面目なものとなる。 何か流れがいけない気が… 「気をつけて行ってくるのよ。何だか嫌な感じがするから…まあ君なら大丈夫よね。ああ、あともうそろそろ休みが取れるからこのクエストから帰ってきたらラン達に会いに村に帰るから一緒に来てくれない?ラン達も楽しみに待ってるって言ってたから」 すらすらと噛むことなく喋り通したエアリィさん、貴女に言いたいことがある。 ……何故?何故にフラグを建てる? しかも複数……何なの、みんな俺のこと嫌いなの? 「じゃ、頑張ってね」 フラグを建てるだけ建てて仕事に戻ろうとするエアリィさんを引き止める。 「ちょっといいですか?ミストって高ランクメンバーを俺、教えてもらいましたか?」 俺の問いに少し間が空いてからエアリィさんが答える。 「……教えたわよ。翔くん忘れちゃったの?」
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