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議論の結果、何かあっても千夜が何とかするだろうと決めつけ、王女様に着いていく。
クエストという形でも城に入るというのは貴重な体験なのだから来て正解だったかもしれない。
これで暗殺中止になりました~とかなれば万々歳なんだが。
「私だよー、門を開けてー」
王女様が叫ぶと重厚感溢れる堅牢そうな門が1分と待たずに開かれていった。
「さっ、早く行くよ」
城内へと入ると見学する間もなく階段を上ったり綺麗な絨毯の敷かれた長い廊下を歩いたりで20と数分。
見たことのない絵画や壺に目移りしながらやって来た部屋は、扉の造りが他と違い何とも言い難いプレッシャーが次の一歩を躊躇わせる。
「父上、母上、クレアです。ギルドの方々をつれて参りました」
丁寧な物言いで告げる王女様。口調が180度変わってるよ。
中から入っていいぞと聞こえ王女様が扉を開き入っていく。それに続き中へ恐る恐る入ると両側に数人の剣を携えた騎士がおり、奥には二つの人影。
白い口髭を生やしたガッシリした初老の男性と、口元に皺が少しあるが20代後半ぐらいにしか見えない赤髪の美女。
あれが国王とお妃様か……風格があるな。
そして横で膝をついたミストさんに習い直ぐ様同じ格好をとる。
「久しい顔と新顔が1人。ふむ……お前さんのランクは何だ?」
国王が立ち上がりゆったりとしかし威厳のある声で俺とミストさんを交互に指差し、そしてまた俺を指差し尋ねてくる。
「ラ、ランクは2です、はい」
「ほぉ」
「あらあら」
「……へぇ」
俺のランクに騎士達が響動めき始める。当たり前の反応だ。端からしたら低すぎるランクだからな。
ただ何故か国王とお妃様と王女様はあまり驚いていらっしゃらない、というかうっすらと笑ってらっしゃる。
「あのマスターが寄越した者だ、何か特別な力でも持っておるのだろう。それより旅で疲れもあるだろう、取り敢えず夜まで休んでいて良いぞ」
国王がそう言うと後ろの扉が開き数人のメイドさんが現れた。
「こちらです」
案内されるがままについて行き、途中でミストさんと別れ数分ほどで客人用の部屋に着いた。
「それではご緩りと」
メイドさんがいなくなり俺は三人は寝れるだろう特大ベッドに腰を降ろす。
入ってから退室するまであの空間は何故か妙に息苦しかった。
気分を変えるため俺は何時ものように精神安定法の部屋の物色をして気を落ち着かせた。
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