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一通り物色し終わり、することの無くなった俺はベッドに仰向けになった。
そうして室内が静寂に包まれ、その雰囲気のせいかふと自問していた。果たして自分が役にたてるのかと。
つい先日まで猫や犬を追っかけていた自分に何が出来るのかと。
だが考えても答えは出そうもない。取り敢えず城の散策がてら怪しい奴がいないか見て回るか。
「不審な輩が彷徨いているとの情報あり。至急発見し拘束せよ」
物陰に隠れ息を潜める。今しがた見回り兵の言ってた不審な輩に俺は認定されたらしい。
確かに城内でパーカー着た奴がうろちょろしてたら誰でも不審に思うか。服装ミスったな。
「しかしどうやって戻ろっかな……」
別に捕まっても直ぐに疑いは晴れるはずだから良いんだが出来れば俺の情報が行き渡るまで逃げ切りたい。
なので一番近くにある部屋にゆっくりと忍び込み、そして隙間から廊下を覗く。
どうやら見つかってはいないよう……だな。後はこの部屋でのんびりとさせてもらうか。
「何……してるの?」
「へ?」
後ろを振り向くとついさっき知り合った女の子が下着姿で立っていた。
あぁ、だから兵の数が異常に多かったのか、納得。
「……私の眼も落ちたかなぁ。こんなことするような人には見えなかったのに」
これは目の保養に……じゃない、落ち着け俺、ミスしたら首が飛ぶぞ。
「あの……王女様、これは不可抗力というものです。決してそのようなつもりは」
「そんなこと言って内心目の保養になったとか思ってないかな?」
やべ、バレてる。
「けど嘘でもないようだしね。そうだなぁ……軽いお仕置きで許してあげよう」
下着姿を見られたことは恥ずかしくないのか、ゆっくりと着替えをしながらそう言ってきた。
「慎んで受けます。で、どのようなもので?」
首を落とされないならなんでもしましょう。
「簡単なことだよ。私の友達の最高の攻撃を耐え凌ぐだけだよ」
ニコニコしながら言う王女様。あなた様はドSですか。
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