馬車のち城

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そして席につき食べ始めようとしたとき後ろから唐突に声が降ってきた。 「儂らもご一緒させてもらっても構わなんかな?」 どこかで聞いた声に後ろを向けば、よく天心に来ていたおじさんと瓜二つの初老の、身長は180はあるだろう男性。それと副団長と不機嫌そうな顔をした青髪ショートヘアーの女性騎士。 聞きたいことが色々出てきたがまず俺は聞きたい。 「あの、違ったらすみませんが……いつも天心に来てくれているおじさん……ではないですよね?」 「貴様!!団長に向かっておじさんとは!!」 俺の発言に憤慨し副団長がトレイを片手に持ちながら殴りかかろうとしてきたがそれを団長が手で制す。 「待て、ガルシア。……少年、それはきっと儂の弟だろうよ。……いや、そうだとするとあやつが言っていた子供というのは…………そうか、少年のことなんだな」 団長は一人で納得し興味深そうに俺を観察し始めた。 「ふむ、面白い……少年、名は?」 「戸神 翔です」 「そうか、儂はアイリス王国騎士団団長のジグル・クラシア・ルセンブルだ少年よ」 名前聞いても呼んではくれないんですね。 しかしこの人があのおじさんの兄で団長か……世の中狭いもんだな。 「待ってください団長、今のお言葉……あの方が何故あのギルドの街に?」 「あやつはもう退役した身だ。安住の地を見つけたと言っておったからな……さてガルシア、その話はまた今度にしよう。それでだ少年、何か聞きたそうだが?」 「あ、はい……あの、団長の隣にいるその人は何故自分を睨んでいるんでしょうか?」 チラチラと視線を送り続け、思いが通じたのか団長が質問しやすいように尋ねてくれたので聞いてみた。 あんなに睨まれていると何か仕出かしたんじゃないか不安になるんだよ。 「おぉ、プリシスのことか。これ、そろそろ止めたらどうだ?」 「……私は信じません。絶対に信じません。副団長の……兄様の剣技をこんなのが全て見切ったなんて」 初対面でこんなの呼ばわりとか…… 「ふむ、困ったものじゃな……」 ふぅ、と団長は溜め息をつき副団長に視線を送る。 「……、プリシス止めるんだ」 「しかし兄様!!兄様の「二度は言わないぞ」っ!!……申し訳無かったギルドの者」 口では申し訳無いと言ってるが忌々しいといわんばかりの形相だ。 全く、副団長に大人しく斬られれば良かったってか?そんなの真っ平御免なんだよ。
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