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「……少し出てきます」
皆が席に着いたと同時にプリシスと呼ばれていた少女は飯を食べる前に席を立った。
「兄離れは何時になるのか……のぉ、ガルシアよ」
「私にも予想がつきません」
食堂から出ていく少女の背中に今度は二人同時に溜め息をついている。
「千夜、あの人、副団長の妹なのか?」
「……うむ、まぁな。しかし相変わらずの兄好きだったな。戸神しか見てなくて私達に気づいてもいなかったぞ」
「俺、こんなのとか言われたんだが」
「プリシスにとって副団長は絶対の存在なのだからな。多分……戸神はもう嫌われてるかもしれん」
「うぇへぇ」
ひそひそ話で分かったのは彼女は副団長の妹で極度のブラコンということ。
面と向かって話してもないうちに嫌われるとか心が痛いです。
「済まなかったな。親睦を深めるために共に食事をしようと考えたのだが……」
「いや、お気になさらないでください」
副団長はね。俺は気にしますけど。
「…そろそろ…食べよう」
「それもそうじゃな」
そして食事はこれと言った会話もなく終わり、結局彼女が帰ってくることはなく置き去りにされた食べ物は千夜が美味しく頂きましたとさ。
そして今はとある一室で秘密裏に騎士団の精鋭とギルドトリオが各々の任務の確認等をしている。
「……であるから、王子の護衛には私と戸神、千夜殿とプリシスのフォーマンセルで任に臨む。異論はないな?」
「質問でーす。ミストさんは?」
「彼女には前回同様、隠密行動に徹してもらう。いいな?」
「…了解している」
「へぇ、ではもう一つ良いですか?」
俺としてはこっちの方が気になるんだが。
「構わん」
「彼女……どうにかなりませんか?」
「……それに関してはすまない。我慢してくれないか」
副団長の横で威嚇というより殺気に近いものを放っているプリシスさん。
共に行動してたら何時か寝首を掻かれるんじゃないかとさえ思える。
「団長の方も確認がすんだようだな。よし、明日に備えて各自睡眠を取るんだ。解散」
そう言い団長の方へと向かう副団長を呼び止める。
「あの、副団長。その情報は確実なのですか?」
「……ガルシアでいいと言っただろう。お前に私を上司の様に呼ばれると馬鹿にされてる気がする」
そんなことないのに……あぁ、また背後から殺気を感じる。
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