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「それとこの情報はあくまでも情報に過ぎん。お前はどんな事態になろうとも怯まない気構えでいろ」
要するに情報に確信はないってことね。
「ではこれで解散だ」
そう言いガルシアさんは未だに確認を続けている団長のもとへ行った。
「……じゃあ行きますか」
時間も時間だったので早く戻ろうと扉を開けると耳に生暖かい息がかかる。
「…後で部屋に行く」
横を通り抜けていく声の正体はミストさんであった。
「ちょっ……あれ……いない」
部屋から出ていく彼女を追い真意を聞こうとするも左右何処にも影一つ無かった。
「どうしたのだ?」
「あ……いや、何でもない。自分の部屋に戻るか」
俺に続き出てきた千夜が不思議そうに訊いてきたので誤魔化しておく。
何を今更とか言われるのも恥ずかしいからな。さっさと戻るか。
彼女がこの部屋に来る理由……何だろね?
折角お城にいるのでテーブルで優雅にティータイムをしつつ考えに耽る。
フーがいたらやってはいないがいないところを見ると大方、王女様のとこにでもいるんだろう。
外からはこれから起こる事態を暗示するかのように不気味な鳴き声。
どこぞの貴族が趣味で飼っていると噂されていた鳥型魔物の子供が逃げ出したとメイドさんが言っていたがこれのことか。
思わず角砂糖落としちまったよ。しかし随分近くから聴こえてくるけど此処等にいるのか?
「ういしょっ……うおぉいっ!?」
「…やっと開けた」
窓を開けると巨大な蝙蝠……ではなく宙吊り状態のミストさん。
「いやいやいや何時からいたんですか!?」
「…気取りながら紅茶をのみ始めたところから」
「わっしょい」
殆どはじめからっすか。
「…一向に気付かないから声真似をした」
「声真似って……あの魔物のですか?」
「…そう。…逃げ出した魔物は既に駆除されたけど聞いてなさそうだったからやってみた」
「何故に窓から?」
「…気分」
ちょい待ち。ホントにミストさんかこの人?妙に饒舌だしお茶目だし。これが素なのか?
「…今から大事な話がある。…だから来た」
「もしかして……告白タイムですか?」
「…ある意味そうかもしれない」
取り敢えず俺の考えてる告白と彼女の考えてる告白が別物ってことは馬鹿な俺でもわかってる。
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