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千鳥歩きならぬ千鳥飛びで酔いどれ妖精が俺の頭に着陸し、眠いーと一言喋り寝息を発て始める。
凄い笑顔で酔い潰れたよこの子。
そして辺りを確認していた王女様が結界を張りつつ俺達を呼ぶ。
「ありがとね、フーちゃんが居なかったら危なかったよ」
「ふっ、作戦通りだ」
「嘘をつかない。しかし無事で何よりです」
「……君、ミストだよね?雰囲気が違う気がしたんだけど」
不思議そうにミーシャを見て言う王女様。確かに行きと違って喋るとき間を置いていない。
しかしそれに一瞬で気付くとは流石だな。
「……ありのままの自分で行こうと決めたのです」
「そうなんだ……うん、その方が私も良いと思うな。…でフーちゃんの事だけど」
「間違って酒を口にしたとかですか?」
もしくは果実系の酒に興味を持って飲んだかだな。食いしん坊め。
そんな風に考えているとミーシャが横から俺を肘でつついてきた。
「時間がないんだから行くよ。……では王女様、他の方々の安全確保のためこれで失礼します」
そう言うとミーシャは扉へと向かっていった。
「あ……ふぅ、すいません、王女様。もしもの為にフーを残すんで。酔ってる理由は全部終わったら訊きに参上して宜しいですか?」
フーをテーブルの上に寝かせながらの俺の宜しくない敬語に笑いながら王女様は言う。
「うん、私は視えるから。大丈夫だよ」
「?……では、失礼します」
先に出たミーシャを追いかけようとしたところで声を掛けられ振り向くと、立ち上がった王女様が真剣にこちらを見ていた。
「私の家族を……お願いします」
王族としてでなく娘として、そう言い頭を下げる王女様に驚きながらも俺は深く頷く。廊下に出ると、先ではミーシャが現れた犬を全て倒していた。
すぐさま彼女の横まで行き並行しながら走る。
「次はどこに?」
「ここからなら王室…ってきゃあ!?」
T字路を右に曲がろうとしたその時、ミーシャとやって来た誰かがドンッと大きな音を起てぶつかり二人が壁に弾け飛んだ。
「いたた……」
「大丈夫か?」
「うん、あたしは何とか……」
「えっと、じゃあもう一人の……ん?」
壁に寄り掛かるように倒れている女性。ロングの黒髪に見覚えのある着物。
観察しているとゆっくりと女性が顔をあげた。
「むぅ?…おぉ戸神ではないか~。勝負しろー勝負だ~」
ふぅ…何故だ、こいつも酔ってやがる。
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