馬車のち城

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目を開けると木刀の周りを青い魔力が包み、3メートルほどの扉と同等の大きさへと変化していた。 「翔……そんなこと出来たの?」 驚いた?俺も驚いてるんだがな。これが洞爺湖(通信販売商品)の真の力なのか。 「ちょっとミーシャ下がってて」 その言葉にミーシャは小さく頷き、当たらない場所まで下がる。 「じゃあいきますか!!」 大きく振りかぶり、その拍子に壁が壊れていくが気にせず、目標へと叩きつける。 「うらあっ!!」 魔法陣に触れた瞬間、轟音とともにその部分から電流が壁や廊下に走る。 パキリと亀裂の入った音が微かに鳴るがまだ力が足りない。 「……………………」 視線を感じ後ろを見るとジト目でミーシャさんが俺を見ている。 いやね、中々に惜しいですし待ってくださいよ。 再度振りかぶり亀裂の出来た場所に狙いを定め振り下ろす。 「頼む、壊れてくれ!!」 前よりも激しく、陣全体に亀裂が走っていく。 「あと少し……うおぉぉぉ!!」 パキン 最後の一押しで硝子が砕け散るように陣が壊れ粉々になっていく。 障害は消えた、だがそれで勢いが止まることはなかった。 「あれぇぇぇっ!?」 阻むものは既に無く、只の扉に戻った王室への入り口は魔力の塊ともいえる大剣を止める事など出来るわけもなく…… 「ああああぁぁぁ!!」 木っ端微塵にぶっ壊した。 ―――――― 翔が扉を破壊する少し前。 城のとある一室、広い室内は人が生活してるのかと疑問に思える程に整理されており、几帳面の極致と言っても過言ではない清潔さであった。 そんな部屋に、着てるだけで肩凝りを年中起こしそうな甲冑を身に付け、窓の外を眺めながらアンニュイな雰囲気を出す一人の男性がいた。 その名はクラウド・アルス・アイリス。 この国の王子であり、ギルドの轟千夜に絶賛片想い中の悩める年頃を少しばかり過ぎている青年である。
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