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――――――
「う……何が……」
慣れぬ転移で脳を揺らされ平衡感覚が失われたためか、立つこともままならぬ王子に何処からともなく声がした。
「自分で確かめるこったなぁ、お坊っちゃま」
馬鹿にするかのようなふざけた口調で喋る誰か。
クラウドは額に手を当てながら視線を上げ、声のした方を向こうとし…………絶句した。
視線の先で王である父が死んだようにうつ伏せになっており、母も同じ様に横に倒れていた。
「ぐぉ……」
呆然とするクラウドは横からした呻き声に視線を横へと向け、そして目を疑った。
副騎士団長のガルシアを明らかに人ではない男が頭を掴み、足の届かぬギリギリの所で持ち上げていた。
背中に黒い翼を生やしたそれは抗おうとするガルシアを嘲笑う。
「どうした騎士様よぉ?すぐ横に王子様が居るんだぜ。もう少し頑張ったらどうだおい」
「……クラウド…様……」
「オラオラ、なんだなんだ……情けねぇなおい!!」
「ガァァァァァッ!?」
割れんばかりの激痛にガルシアは叫び、抵抗をしていた腕はダランと下に垂れ下がった。
「あぁ?気絶したのか……つまらねぇなおい」
そう本当につまらなそうに呟き、クラウドの目の前にガルシアを投げ捨てる。
「ガ、ガルシア、ガルシアッ!!」
現状を理解出来てないクラウドは目の前に伏すガルシアを揺すり、起こそうとする以外になにも出来ない。
「ガルシア、ガ「おい」!?」
いつの間にか背後に立っていたそれは、クラウドの肩に手を置き詐欺師のような笑顔を作り語りかけてくる。
「無駄だ無駄。それより俺様から哀れなお坊っちゃまに一つ提案があるんだがなぁ。なに、お前にも希望を与えてやるって話だ」
その語りからクラウドが感じ取るのは明らかな悪意。その恐れを抱く姿を楽しむようにそれは続ける。
「いやな、このまま皆殺しにしても良いんだがそれじゃつまんねぇだろ。だからチャンスやろうってんだ。お前が万が一にも俺様に勝てたらお前の親どもにかけた呪術を解いてやるよ」
「……呪術だと?」
「あぁ、3日間以内に死に至るっていう何とも良心的な術だ」
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