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脳内シミュレーションは上々、身体が思い通りに動くのを信じ眼前の敵にばれぬよう魔力を一箇所に集める。
「何をこそこそとやってるかは知らねぇがのんびりしてるなら…こっちから行くぜぇ!!」
飛影(仮)は叫びながら俺へと向かってきた。
「なんのぉぉ!!」
負けじと洞爺湖て斬りかかる。
「らあっ!!」
「っ!!」
2度目のぶつかり合いの瞬間、洞爺湖の刀身がバキッと半分に折れる。
空中に破片を撒き散らして回転する洞爺湖。ふと脳裏に年甲斐もなく泣きじゃくる仙人の姿が浮かんだが気にしない。
破壊されるのは想定内。
「くそっ」
落ちてくる刀身に敢えて手を伸ばす。ここからは運次第、さて狙われるの何処だ?
「馬鹿がっ!!」
俺が本気で折れた木刀を取ろうとしてると思ったのか奴は叫ぶ。
槍の動きに全神経を集中させる。好機とばかりに捻りによる溜めを入れたのはこちらにとっても好都合。
槍の切っ先が向いてるのは喉……じゃない、頭か。
そう判断し直ぐ様敵の懐に潜り込む。
ほぼそれと同時に放たれた槍は俺の頭が在ったであろう場所で空を切る。
「何っ!?」
「秘奥義!!」
俺の声を聞き、防御を取ろうとするがもう遅い。半歩下がり繰り出すは地味でシンプルながらもその場で踞ること確実の一撃。
左足の甲に込めた魔力を解放し狙うのは一点。
「太ももパァーン!!」
結論から言えば奴はその場には踞らなかった。
最高の速さでの太ももパァーンは確かに直撃したのだ。
ただ普通の太ももパァーンとは比べ物にならない聞いたこともない音が響いた。
そして飛影(仮)は空中で数回転し、床に落ちたあとも勢いよく転がり壁へと体当りした。
今は何とか立ち上がろうとしてるが右足が言うことを聞かないらしい。
その苦しみは痛いほど分かる。そんな貴方に一言。
「ざまぁ」
「人間風情がぁ……」
そんなに睨んでも足がガクガクのせいで怖くない。
だが次の瞬間、奴はまた笑う。
「だがテメェは…今の一撃をテメェの魔武器と引き換えにした。もう勝ち目はねぇぞ」
そんな現在進行形で小鹿状態の奴に言われてもねぇ。
確かに手元から洞爺湖は消えており破片も片割れも見当たらない。酷い扱い方だったな、反省。
けど俺が頑張ればあと二回はお取り寄せ可能だから。
一つでは無いのだよ私の武器は。
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