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耳を塞いでいても何故か頭のなかにまで聞こえてくる自分の声に、昔の光景が蘇りミーシャを苦しめる。
(大丈夫…あたしはもう強くなったんだ……だから…大丈夫……)
彼女は堪えた、幾度も繰り返される忌まわしき記憶に、悪夢がそれだけだと勘違いをしていたから。
「…………なに…これ?」
自身の感覚に違和感を持ち目を開けるとミーシャは十字架に磔にされていた。そして目の前では過去の自分が犯されている。
「え!?…何で…何で目が閉じれないの……止めて……お願いだから止めてよ……」
何故か瞼は動かず、身体を必死に捩り抜けようとするが巻き付けられた鎖は全く解ける気配がない。
頭も動かせず、ただ強制的に見せられる光景にひたすらに堪え続けた。
これだけでもミーシャの心は折れかけていた。最も思い出したくないトラウマが何度も何度も何度も何度も繰り返される地獄。
だが悪夢はまだまだ序盤であった。
「お願い……もう…止めて……もう止め!?」
突如、腹部を襲う激しい痛み。恐る恐る目を向けると槍が自分の腹を貫いていた。吹き出す血、そして尋常ではない痛みがミーシャを狂わせる。
「うあ゛あ゛あああああああああああああああああああああああっ――――――あ゛…ぅああ、はぁはぁはぁ……」
幻覚とは思えぬあまりの痛さにミーシャは気を失った。
「……え……何で……」
「「苦しめ、お前の終わりまでな」」
目を開けると腹部の痛みは消えていた、しかし目の前に魔族が二人いて槍を構えていた。そして同時にミーシャの太股へと突き刺す。
「あ゛あ゛あ゛あああああああああああああああああああああああっ―――――、……あぁ……あぁ……」
「「おら次だ次ぃっ!!」」
勢いよく抜かれ血が大量に吹き出す。そして魔族は次に両腕を目掛けて槍を振り上げる。
「もう……止め―――あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あああああああああああああああああああああああああああっ――――――、…………あぅ……痛い…痛いよぉ……もう……」
「「泣いてんじゃねぇよおらぁっ!!」」
「いや…いやあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あああああああああああああああああああああああああああっ―――――――」
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